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母の思い出の家

今住んでいる家の他に、もう一軒家を持っています。と書くと、ずいぶんゴージャスでリッチな印象がありますが実際には亡くなった母の残した家で築数十年、土地も不便な場所にあり資産価値としてはほとんどなきに等しいというシロモノであります。
それでは固定資産税が掛かるだけ無駄なので、さっさと売却した方がいいんじゃないか、とも思わないでもありません。いくら資産価値がゼロに近いといっても本当にゼロではないワケで。

    それでも手放せない、どころか名義変更すらしないでいます。法律的手続き的には母が亡くなり家を相続した時点で名義変更するのがアタリマエですが、その家を手に入れたときの母の思いを考えると、なんとなくそのままにしておきたい、という感傷から抜けきれません。
    転勤族だった父が若くして亡くなったため、自分の家を持つという願いも叶わず、それで退職金で中古住宅を買った母の胸には、自邸を新築して落ち着いた兄弟姉妹に負けたくない、という想いがあったことは間違いありません。
    その想いが詰まった家を、売り払ったりするのはどうも、というワケで。そのついでと言っては何ですが、この家はいつまでも母さんのものだからね、という気分で名義も変えないでいます。

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